発達障害(ASD・ADHD)のある子どもがゲームに夢中になっていると、
「やめられないのは依存?」
「イライラが悪化するのでは?」
と不安になる方も多いのではないでしょうか。
特に、
・やめるとパニックになる
・声をかけると余計に荒れる
・時間管理がうまくいかない
といった悩みはよく聞かれます。
私自身も、最初はそうでした。
この記事でわかること
・発達特性のある子どもがゲームをやめられないように見える理由
・イライラを悪化させない関わり方の具体例
・ゲームを「調整」として使っている可能性
・無理にやめさせないためのルール設計の考え方
帰宅後のイライラはゲームで「整えている」可能性がある
学校では、
・音や視覚刺激
・人間関係
・空気読み
・予定変更
など、多くの情報処理が求められます。
ワーキングメモリや処理速度に負荷がかかりやすいタイプの子どもにとって、無意識のうちにエネルギーを消耗しています。
そんな状態で帰宅すると、感情が不安定になりやすい。
ところが息子は、イライラしている日ほどフォートナイトを選びます。
最初は「逃避」に見えました。
しかし実際には、
動線を読み、
敵位置を予測し、
瞬時に判断する
といった構造の中で思考を整理しているように見えました。
興奮ではなく、秩序の中で落ち着いている。
この「整えるためにゲームを使っている状態」については、
→ 子どもがゲームに逃げるのはなぜ?怒って帰る日の「感情調整」
でも詳しく整理しています。
発達特性のある子どもは、こうした構造の中で思考を整理しやすい傾向があります。
この「ゲームに向いている特性」については、
→ 発達障害(ASD・ADHD)の子どもはゲームに向いている?
で整理しています。
また、フォートナイトの具体的なプレイの中で見えた力については、
→ フォートナイトで育つ子どもの力|判断力・協調性・思考力を観察から解説
でも詳しくまとめています。
やめさせるとパニックになるのはなぜか
以前、遅刻しそうな朝に、こう声をかけたことがあります。
「早くして!」
「ハンカチ持ったの?」
「宿題入ってないよ!」
「上着着てる?」
すると息子は「うわー!」とパニック状態になりました。
当時は反抗や甘えに見えていましたが、今振り返ると違います。
一度に複数の指示が飛ぶと、
・優先順位が整理できない
・処理が追いつかない
・焦りが増幅する
という負荷がかかっていたのです。
ゲーム中に突然「今すぐ終わって」と言われることも、同じ構造だったのかもしれません。
効果があった「やめられる声かけ」と終了設計
我が家で効果があったのは、「段階予告」です。
・30分前に一度伝える
・5分前に再確認
・1分前に最終予告
さらにアラームも併用します。
突然の遮断ではなく、「終わりに向かう準備時間」を作ること。
すると、切り替えが格段にスムーズになりました。
終了できたときは「注意」ではなく「成功」を拾う
時間通りに終われた時は、
「お、終われたじゃーん!」
と軽く声をかけるようにしています。
大げさに褒めるわけではありません。
ただ、できたことをその場で拾う。
それだけです。
切り替えができた経験は、次の切り替えの土台になります。
「今すぐやめる」より「安全に抜ける」を優先する
戦闘中やチーム戦の最中に即座に抜けるのは難しい場面もあります。
・武器を味方に渡している
・安全な場所へ移動している
・区切りを作ろうとしている
そうした様子が見える場合は、数分待つこともあります。
「今すぐ」よりも「安全に抜ける」を優先する。
それだけで衝突は大きく減りました。
急な終了が必要なときの伝え方
習い事や外出など、終了時間が決まっている日は、
事前に「何時に抜けるか」を共有しておきます。
「今日は〇時に抜けるね」
「この後予定があるからここまで」
時間制限が明確な場合は、事実をそのまま伝える方がスムーズです。
抜けにくい場面で見えた対人スキル
ゲーム中は連帯感が生まれやすく、
「もう一戦行こう」
「次勝ったら終わりにしよう」
と誘われることもあります。
そんな時、息子はまず終了意思を伝えます。
それでも継続を促される場合には、
「充電やばい」
「電波悪いかも」
と理由を添えて離脱します。
関係を壊さずに離れる。
そんな対人スキルも見えてきました。
ゲーム後の切り替えは「導線」で決まる
終了後に空白時間があると、再びゲームへ戻りやすくなります。
そこで我が家では、
・すぐに食事
・お手伝い
・軽い脳トレ
といった「次の行動」を用意しています。
「またゲーム?」ではなく「クールダウン」という役割
ゲーム後にスマートフォンを触ることがあります。
最初は違和感がありましたが、
・短時間
・パズル系
・反射系
といった軽い内容でした。
本人いわく、
「ちょっとクールダウンしてる」
とのこと。
これは「再加熱」ではなく「切り替え工程」だったのです。
依存を防ぐのは「禁止」ではなく「設計」
学校中学年頃までは、1日2時間を目安にしていました。
ただ現実は単純ではありません。
そこで、
「今日は何をいつやるのか」
を本人に決めさせる形を取りました。
禁止ではなく設計。
管理ではなく共有。
ルールの決め方については、
→ 発達障害(ASD・ADHD)の子どもにゲームのルールはどう決める?罰ではなく「契約」にした我が家の方法
で詳しくまとめています。
約束を守る力は「罰」ではなく「経験」で育つ
ペナルティも本人と一緒に考えます。
極端な案は調整しながら、
・翌日のゲーム時間を短縮
・先にやることを終わらせる
といった現実的な形に落とします。
ゲームは「問題」ではなく「使い方」で変わる
ゲームが問題なのではなく、
・無制限
・無計画
・無対話
が問題になりやすいと感じています。
発達特性のある子どもにとってゲームは、
思考を整理する場であり、
成功体験を積む場であり、
社会性を練習する場でもあります。
ゲームとの関係を全体で見る
この記事では、「やめられない」「イライラする」場面への関わり方をまとめました。
ただ、ゲームとの関係はそれだけではありません。
・睡眠
・学習
・認知特性
など、複数の要素が関係しています。
全体像については、こちらでまとめています。
→ 発達障害(ASD・ADHD)の子どもとゲームの関係|依存・睡眠・学習を観察して分かったこと
まとめ
発達特性のある子どもにとって、ゲームは
やめられないものではなく、
「調整」や「整理」の手段として使われている可能性があります。
だからこそ大切なのは、
やめさせるかどうかではなく、
どう関わるか。
「時間を減らすかどうか」だけでなく、
見方を変えることで、関わり方も変わっていきます。
また、ゲームとの付き合い方をより広い視点で捉えるための考え方は、
→ 子どもとゲームの付き合い方|親が知っておきたい7つの視点
でまとめています。

