発達障害(ASD・ADHD)のある子どもがゲームに夢中になっている姿を見ると、
「やめさせないと依存になるのでは?」
「このままで大丈夫?」
と不安になる親御さんは多いのではないでしょうか。
私自身も、最初はそうでした。
特に、学校でイライラして帰宅した日に限ってフォートナイトを立ち上げる息子の姿を見て、
「さらに興奮するのでは?」
「余計に荒れるのでは?」
と感じていたのです。
しかし観察を続けるうちに、見えてきたことがありました。
帰宅後のイライラや不安定を、ゲームで整えている可能性
学校では、
・音や視覚刺激
・人間関係
・空気読み
・予定変更
など、多くの情報処理が求められます。
ワーキングメモリや処理速度に負荷がかかりやすいタイプの子どもにとって、無意識のうちにエネルギーを消耗しています。
そんな状態で帰宅すると、感情が不安定になりやすい。
ところが息子は、イライラしている日ほどフォートナイトを選びます。
最初は「逃避」に見えました。
しかし実際には、
・動線を読む
・敵位置を予測する
・瞬時に判断する
といった構造の中で思考を整理しているように見えました。
興奮ではなく、秩序の中で落ち着いている。
そう捉え直すと、ゲームの役割が変わって見えました。
やめさせるとパニックになる理由
以前、遅刻しそうな朝に、こう声をかけたことがあります。
「早くして!」
「ハンカチ持ったの?」
「宿題入ってないよ!」
「上着着てる?」
すると息子は「うわー!」とパニック状態になりました。
当時は反抗や甘えに見えていましたが、今振り返ると違います。
一度に複数の指示が飛ぶと、
・優先順位が整理できない
・処理が追いつかない
・焦りが増幅する
という負荷がかかっていたのです。
ゲーム中に突然「今すぐ終わって」と言われることも、同じ構造だったのかもしれません。
効果があった終了の声かけ方法
我が家で効果があったのは、「段階予告」です。
・30分前に一度伝える
・5分前に再確認
・1分前に最終予告
さらにアラームも併用します。
突然の遮断ではなく、「終わりに向かう準備時間」を作ること。
すると、切り替えが格段にスムーズになりました。
終了できた時は、必ず声をかける
時間通りに終われた時は、
「お、終われたじゃーん!」
と軽く声をかけるようにしています。
大げさに褒めるわけではありません。
ただ、できたことをその場で拾う。
それだけです。
すると本人も、
「まあね」
「今日はいけた」
と、少し誇らしそうな顔をします。
切り替えができた経験は、次の切り替えの土台になります。
注意よりも、成功体験を積み重ねる。
その方が、結果的に安定につながると感じています。
すぐやめさせない終了ルールを作る
とはいえ、戦闘中やチーム戦の最中に即座に抜けるのは難しい場面もあります。
・武器を味方に渡している
・安全な場所へ移動している
・区切りを作ろうとしている
そうした様子が見える場合は、数分待つこともあります。
「今すぐ」よりも「安全に抜ける」を優先する。
それだけで衝突は大きく減りました。
急な終了が必要な時の伝え方
習い事や外出など、終了時間が決まっている日は、事前に一緒にプレイしている相手へ終了時間を伝えるようにしています。
例えば、
「今日は〇時に抜けるね」
「この後、習い事だからここまで」
と、30分ほど前には共有しておくことが多いです。
その上で時間が近づくと、
「行ってくるね」
「やば、置いてかれる!」
と、現実の予定をそのまま伝えて離脱しています。
時間制限が明確な場合は、事実をそのまま伝える方が自然で、トラブルにもなりにくいと感じています。
抜けさせてくれない相手への対応
一方で、ゲーム中は盛り上がりや連帯感が生まれやすく、
「もう一戦行こう」
「次勝ったら終わりにしよう」
と誘われることもあります。
そんな時、息子はまず
「そろそろ落ちるね」
「時間だから抜けるよ」
と終了意思を伝えます。
それでも継続を促される場合には、
「充電やばい」
「電波悪いかも」
と理由を添えて離脱します。
思わず笑ってしまう方法ではありますが、
・終了意思を言語化する
・関係を壊さない理由を選ぶ
・無理に付き合い続けない
といった対人スキルが見えてきました。
ゲーム後の切り替え導線を作る
終了後に空白時間があると、再びゲームへ戻りたくなります。
そこで我が家では、
・すぐに食事
・お手伝い
・軽い脳トレ
といった「次の行動」をあらかじめ用意しています。
ゲーム後に再びスマホを触る理由
終了後、たまにスマートフォンで脳トレ系のゲームを始めることがあります。
最初は正直、
「またゲーム?」
「切り替えられていないのでは?」
と思っていました。
けれど様子を見ていると、対人戦とは違い、
・短時間完結
・パズル系
・反射系
といった軽い負荷の内容でした。
本人いわく、
「ちょっとクールダウンしてる」
とのこと。
戦闘や判断の連続だった状態から、思考を整える時間として使っているようでした。
興奮を上げるゲームではなく、思考を落ち着かせるゲーム。
その役割の違いに気づいたことで、
「またゲーム」ではなく
「切り替え工程」
として捉えられるようになりました。
依存を防ぐ家庭設計
学校中学年頃までは、1日2時間を目安にしていました。
理想は「宿題・練習後にゲーム」ですが、現実はそこまで単純ではありません。
そこで、
「今日は何をいつやるのか」
を本人に決めさせる形を取りました。
禁止ではなく設計。
管理ではなく共有。
それが我が家の軸になりました。
約束を守る経験を積む設計
宿題をやらなかった場合のペナルティも、我が家では本人に考えさせています。
すると、
「Epicアカウント削除」
「スマホ解約」
など、極端な案を出してくることもあります。
けれど、それをそのまま採用することはありません。
一度受け止めた上で、
「それはやりすぎだよね」
「続けられるルールにしよう」
と話し合います。
大切にしているのは、
罰で縛ることではなく、
自分で決めた約束を守る経験を積むこと。
極端な制裁ではなく、
・翌日のゲーム時間を短縮する
・先にやることを終わらせる
といった現実的な調整に落ち着くことがほとんどです。
ゲームを禁止するより設計する
ゲームが問題なのではなく、
・無制限
・無計画
・無対話
が依存に繋がるのだと感じています。
発達特性のある子どもにとってゲームは、
・思考整理の場
・成功体験の場
・社会性の練習場
にもなり得ます。
実際にプレイ観察を続ける中で、
「これは特性の弱さではなく、強みでは?」と感じた場面がいくつもありました。
フォートナイトで見えた視空間認知の強みと特性の具体例については、こちらの記事で詳しくまとめています。
大切なのは、
やめさせるかどうかではなく、
どう関わるか。
不安から禁止するのではなく、理解した上で伴走する。
それが今の、私なりの答えです。
