ワーキングメモリが低いとどうなる?子どもに見られる特徴と関わり方

認知特性・思考タイプ

子どもを見ていると、

「さっき伝えたのに、もう忘れてしまう」
「途中までできていたのに、急に分からなくなる」
「ちゃんと聞いていたはずなのに、動けない」

そんな様子に気づくことがあります。

そのとき、

「話を聞いていないのかな?」
「不注意なだけなのかな?」

と感じることもあるかもしれません。

でも実際には、
情報を一時的に頭の中に保ちながら使うことに負担がかかっている場合もあります。

こうした違いの背景には、
ワーキングメモリの特徴が関わっていることがあります。

この記事では、
ワーキングメモリに負担がある状態とはどのようなものか、
そして日常や学習の中でどのように表れやすいのかを整理していきます。

この記事でわかること

・ワーキングメモリが低い子に見られやすい特徴
・忘れ物や指示の抜けが起こりやすい理由
・関わり方や支え方のポイント

ワーキングメモリそのものについては、こちらの記事で整理しています。
ワーキングメモリとは?情報を保ちながら考える力と子どもの特徴

ワーキングメモリが低いとはどういうことか

ワーキングメモリが低い子は、
情報を一時的に頭の中に置きながら、同時に考えたり動いたりすることに負担がかかりやすい状態があります。

たとえば、

・聞いたことを覚えながら行動する
・順番を保ちながら作業する
・途中の情報を落とさずに考える
・複数のことを一度に処理する

といった場面です。

これは、
「覚える力がまったくない」ということではありません。

むしろ、長く覚えていることはできても、
その場で一時的に保ちながら使うこと に負担がかかりやすい、という特徴として表れることがあります。

ワーキングメモリが低い子に見られやすい特徴

指示を一度で覚えにくい

「プリントを出して、名前を書いて、終わったら先生に出してね」
のように、手順がいくつか続くと、途中で抜けやすいことがあります。

最初は聞いていても、

・途中で何をするのか分からなくなる
・一つ終わると次が抜ける
・最後の指示まで保てない

といったことが起こりやすくなります。

忘れ物が増えやすい

持ち物ややることを一時的に頭に置いておくことに負担があると、

・必要なものを持っていくのを忘れる
・あとでやろうと思っていたことを忘れる
・準備の途中で別のことに気を取られる

といった形で見えやすくなります。

「気をつければできるはず」と思われやすい部分ですが、
実際には、頭の中で情報を保ち続けること自体が負担 になっていることがあります。

途中で何をしていたか分からなくなりやすい

作業の途中で、

・何をやっていたのか分からなくなる
・どこまで終わったか抜ける
・次に何をすればいいか見失う

といったことがあります。

これは、集中していないというより、
途中の情報を保持し続けることに負担がある ために起こりやすいことがあります。

話を聞いていても抜けやすい

会話や説明の中で、

・最初は聞いている
・途中までは分かっている
・でも最後まで保てない

ということがあります。

そのため、

・返事はしたのに動けない
・説明されたあとで「何するんだっけ?」となる
・聞いていないように見える

といった誤解につながることもあります。

読みながら考える課題が負担になりやすい

ワーキングメモリは、

・文章を読みながら内容をつかむ
・計算の途中を保ちながら答えを出す
・問題文の条件を頭に置いて考える

といった学習場面でも使われています。

そのため、負担があると、

・文章題が苦手
・長い説明を読むと途中で抜ける
・計算の途中で数字が飛ぶ

といった形で見えることがあります。

複数の情報を扱いながら考える場面では、流動推理の特徴も関係してきます。
流動推理に負担がある子どもの特徴|初めての問題で止まりやすい理由

学校でつまずきやすい場面

ワーキングメモリが低い子は、特に学校で次のような場面につまずきやすいことがあります。

板書を写しながら説明を聞く

黒板を見て写しながら、先生の説明も聞く場面では、

・見る
・写す
・聞く
・保つ

が同時に必要になります。

そのため、

・書いているうちに説明が抜ける
・どこまで写したか分からなくなる
・聞いた内容が頭に残りにくい

といった負担が出やすくなります。

文章題や複数ステップの課題

文章題では、

・条件を読む
・必要な情報を保つ
・順番に考える
・答えを出す

という流れが必要です。

ワーキングメモリに負担があると、
途中の条件が抜けたり、何を使えばいいか分からなくなったりすることがあります。

宿題や持ち物の管理

宿題や準備では、

・何を持っていくか
・何をやるか
・どの順番で進めるか

を頭に置いて動く必要があります。

そのため、

・連絡帳を見ても抜ける
・途中で別のことを始める
・持ち物がそろわない

といった形で困りごとが見えやすくなります。

よくある誤解

「話を聞いていない」

指示の抜けや聞き返しが多いと、
話を聞いていないように見えることがあります。

でも実際には、
聞いていないのではなく、
聞いた情報をその場で保ち続けることに負担がある 場合もあります。

「不注意なだけ」

忘れ物や抜けが多いと、
不注意と見られやすくなります。

もちろん注意の向き方が関係することもありますが、
ワーキングメモリの負担が背景にある場合もあります。

「やる気がない」

途中で止まったり、また聞きしたりすると、
やる気がないように見えることがあります。

けれど、
本人の中では
「覚えていたつもりなのに抜けた」
「分かっていたのに途中で消えた」
ということも少なくありません。

「理解していない」

答えられない、途中で止まる、説明が飛ぶと、
理解していないように見えることがあります。

でも実際には、
理解そのものではなく、
理解した内容を保ちながら出力するところ に負担があることもあります。

また、情報の理解の仕方には、視覚的な捉え方の特徴も影響することがあります。
視空間能力とは?見て理解する力と子どもに見られる特徴

関わり方のポイント

一度に伝える情報を減らす

情報が多いほど、途中で抜けやすくなります。

そのため、

・一つずつ伝える
・短く区切る
・手順を分けて伝える

といった工夫が役立つことがあります。

目で見える形にする

頭の中だけで保つのが難しい場合は、

・メモにする
・チェックリストを使う
・順番を見えるようにする
・やることを紙に書く

といった形で、外に出しておくと負担が減りやすくなります。

繰り返し確認できるようにする

一度聞いて終わりにするよりも、

・もう一度見返せる
・途中で確認できる
・何をするか自分で確かめられる

状態を作ることが大切です。

途中の段階を区切る

「最後まで一気に」が難しい場合は、

・ここまでできたら次
・まずはこれだけ
・終わったら確認する

と、途中で区切ると進めやすくなることがあります。

「忘れないようにしよう」だけで終わらせない

ワーキングメモリに負担がある子にとって、
「ちゃんと覚えておいて」
「忘れないようにして」
だけでは、かえって苦しくなることがあります。

大切なのは、
忘れにくい仕組みを一緒につくること です。

支え方で変わることもある

ワーキングメモリに負担がある子でも、

・情報量を減らす
・見える形にする
・順番を整理する
・途中で確認できるようにする

といった工夫で、取り組みやすくなることがあります。

本人の努力不足として片づけるのではなく、
その子に合った保ち方・整理の仕方を探すこと が大切です。

ワーキングメモリを含むWISCの5指標全体については、こちらで整理しています。
WISCの5指標とは?子どもの思考タイプと認知の特徴

まとめ

ワーキングメモリが低い子は、

・指示を一度で覚えにくい
・忘れ物が増えやすい
・途中で何をしていたか分からなくなりやすい
・文章題や複数ステップの課題でつまずきやすい

といった特徴が見られることがあります。

それは、
「話を聞いていない」
「やる気がない」
「不注意なだけ」
ということではなく、
情報を一時的に保ちながら使うところに負担があるためかもしれません。

大切なのは、
どこで情報が抜けやすいのかを見て、
その子に合った支え方を考えることです。

ワーキングメモリのつまずきは、
見方や工夫を変えることで、少しずつ楽になることもあります。

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