子どもの様子を見ていると、「また忘れたの?」「昨日も言ったのに、どうして持っていけないの?」「やる気がないわけではなさそうなのに、なぜか抜けてしまう」そんなふうに感じることがあります。
忘れ物が続くと、つい「不注意」「だらしない」「気をつければできるはず」と考えてしまうこともあります。でも実際には、忘れ物の背景には単なる性格だけではなく、情報を保つことの難しさ、切り替えや見通しの持ちにくさ、注意の向き方の特徴などが関係していることもあります。
この記事では、忘れ物が多い子に見られやすい背景を整理しながら、困りごとの奥にある特性や関わり方のヒントについてまとめていきます。
この記事でわかること
・忘れ物が多い子に見られやすい背景
・「だらしなさ」だけでは説明できない理由
・特性に合った関わり方のヒント

「忘れ物が多い」は性格なのか
子どもの忘れ物が続くと「どうしてこんなに忘れるの?」「ちゃんと確認したのに…」と感じることがあります。何度言っても改善されないと、つい「性格なのでは」と思ってしまうこともあるかもしれません。
しかし実際には、忘れ物の背景に認知の特性が関係していることもあります。
実際に見られた様子
わが家でも、こんなことがありました。
- 学校の持ち物をよく忘れる
- 「あとでやろう」と思ったことを忘れる
- さっき言ったことをすぐ忘れてしまう
そのたびに声をかけたり、確認したりしていましたが、同じことが繰り返されることも多くありました。
なぜ忘れ物が起きるのか
忘れ物が起きる背景には、いくつかの要因があります。頭の中に一時的に情報をとどめておくことが難しい、複数のことを同時に処理すると抜けやすい、意識が別のことに向くと記憶が飛びやすい。これはいわゆる「注意不足」ではなく、情報の扱い方の特徴とも考えられます。

ワーキングメモリとの関係
忘れ物の多さには、ワーキングメモリと呼ばれる働きが関係していることがあります。ワーキングメモリとは「一時的に情報を保持しながら処理する力」のことです。
持ち物を覚えて準備する、指示を聞いて行動する、手順を頭に入れながら進める。こうした場面で使われています。この働きに負担がかかりやすい場合、「分かっているのに忘れる」という状態が起こることがあります。
→ ワーキングメモリとは?情報を保ちながら考える力と子どもの特徴
ADHDの特性との関係
こうした特徴は、ADHDの特性と重なる部分もあると言われています。注意がそれやすい、やるべきことを忘れやすい、行動の優先順位をつけにくいといった傾向があります。ただしすべてが当てはまるわけではなく、現れ方には個人差があります。
関わり方を変えるとどうなるか
忘れ物への対応は、注意や叱ることだけでは改善しにくい場合もあります。視覚的に見える形で準備する(チェックリストなど)、一つずつ順番に確認する、ルーティン化する。こうした工夫によって、抜けを減らすことができる場合もあります。
「どうしてできないの?」ではなく、「どうすればやりやすくなるか」という視点に変えることで、関わり方も変わっていきます。

観察して見えてきたこと
子どもの様子を見ていると、覚えられないのではなく抜けてしまう、一度に複数のことが重なると難しい、興味のあることは忘れないといった特徴が見えてきました。そこには単なる「不注意」ではなく、認知の特性が関係しているように感じられました。
特性を知るという選択
こうした特性をより具体的に知る方法の一つが知能検査(WISC)です。WISCでは、ワーキングメモリ、処理速度、注意の持続といった側面から、認知の特徴を把握することができます。
わが家でも特性を整理するために検査を受けることになりました。数値そのものより、バランスを見ることで子どもの見え方が変わります。
→ WISC検査とは?何がわかるのか・受ける意味をわかりやすく解説

まとめ
忘れ物が多い行動の中にも、記憶の特性、注意の向き方、情報処理の違いが関係していることがあります。見方を変えることで、関わり方が変わる、対応の方法が見えてくる、子ども自身の負担が軽くなる。そんな可能性もあります。
その子の特性を知ることは、理解の一歩につながるのかもしれません。

