オンラインゲームは社会性を奪う?子どもに見えた関係づくりの力

発達特性とゲーム

「ゲームばかりしていると、人と話せなくなるのではないか。」そんな不安は、多くの家庭で聞かれます。

でも少し立ち止まって考えてみると、そもそも「社会性」とは何でしょうか。目を見て話せること?空気を読めること?初対面の人と打ち解けられること?

現実の人間関係が苦手でも、オンラインでは自分から声をかけられる子がいます。対面では衝動が先に出てしまうのに、ゲームの中では礼儀を意識して動ける子がいます。「社会性がない」と見えていた行動が、場所と文脈を変えると全く違う顔を見せることがあります。

この記事では、オンラインゲームが子どもの社会性に与える影響を、我が家の実例をもとに整理していきます。「ゲームで社会性が育つのか」という問いに答えを出すというより、その子の中に何が起きているのかを一緒に見ていけたらと思います。

この記事でわかること

・オンラインゲームが社会性に与える影響の二面性
・ゲームが「共通言語」になる理由
・オンラインで見られる子どもの関係づくりの特徴
・社会性が発揮される場面の違い
・家庭での関わり方によって結果が変わる理由

ゲームにはリスクがあるという前提

実際、オンラインゲームにはリスクもあります。暴言、依存、生活リズムの乱れ。私自身も、すぐにゲームを許可したわけではありません。

4年生の頃、息子から「友達の家でやったフォートナイトが楽しかった」と言われましたが、そのときはやらせませんでした。知人から「子どもがゲームで怒り狂い、Switchをテレビに投げつけて壊してしまった」「言葉遣いが悪くなった」という話を聞いたことがあったからです。

フォートナイト自体、ネット上でも賛否が分かれるゲームです。「子どもにやらせるべきではない」という意見もあれば、「適切に関われば問題ない」という声もある。どちらが正解かは、正直なところ今も分かりません。ただ、ゲームには現実的なリスクがある。それは事実です。

それでも始めた理由

一方で、学校生活ではゲームが”共通言語”になっている場面もあります。フォートナイトをやっていないと話題に入れない、仲間外れになりやすいという空気も存在します。

完全に遠ざけるのが正解なのか、設計したうえで関わらせるのか。私は迷いました。最終的に始めたのは5年生の11月末でした。年齢を待ち、ルールを整え、段階予告や終了設計を前提にしたうえでのスタートでした。

ゲームが“共通言語”になる瞬間

担任の先生と話した際、こんなエピソードを聞きました。支援級のある生徒が作文に「普段は人と話すのが苦手だけど、ゲームのボイスチャットなら話せる」と書いていたそうです。

顔が見えない、表情を読まなくていい、会話の目的が明確。オンライン空間は対面よりも心理的ハードルが低くなることがあります。ゲームが、安心して関われる場になる場合もあるのです。

オンラインで見えた社会性の実例

敬語を使う理由は「信頼戦略」

息子はゲーム内で初対面の相手には敬語を使います。理由を聞くと、「信頼してもらえたら協力してもらえるから。」そう言います。初対面は丁寧に話す、年上には特に礼儀を意識する、声のトーンを変える。

その結果、武器を分けてもらえる、情報を共有してもらえる、プレゼントを送ってもらうこともある。オンラインの世界は、ある意味で信用経済です。信頼はリソースになる。これは社会性そのものです。

自分から関係をつくる行動

息子はゲームを始めるとき、フレンドがいない場合でも「誰か話せる人いるー?」とボイスチャットで声をかけることがあります。知らない人同士がチームになる中で、会話のきっかけを自分から作っているようでした。もちろんすべてがうまくいくわけではありません。それでもゲームの中では、関わり方を試す場所になっているのかもしれません。

経験を言語化する力

ゲームが終わったあと、息子の話は止まりません。「今日さ、○○って人がいてさ」「この武器が強くてさ」とフォートナイトの話が続きます。武器の名前は横文字ばかりでゲームをしない私たちにはよく分かりません。それでも息子にとっては、その日の出来事を振り返る大事な時間なのかもしれません。

現実とゲームで違う「社会性の出方」

一方で、現実では衝動が先に出ることもあります。忙しい職員室に突然入り「算数の問題集忘れた!やってきたのにー!」と勢いよく言ってしまい、担任に注意される。「うん」ではなく「はい」と言い直される場面もあります。

同じ子どもでも、環境によって発揮される力は変わります。社会性がないのではなく、社会性の”出方”が違うのです。

ゲームは社会の練習場になり得る

オンラインゲームにはルールが明確、目的が共有されている、役割がはっきりしている、成果が即時に返るという特徴があります。発達特性のある子どもにとって、曖昧な雑談よりも目的のあるコミュニケーションの方が取り組みやすい場合があります。

もちろん暴言や煽りなどのリスクも存在します。しかし大切なのは「ゲームをするかどうか」ではなく「どのように関わるか」です。設計があるか、ルールがあるか、振り返りがあるか。その分かれ道は、家庭の関わり方にあるのだと思います。

まとめ

オンラインゲームは、社会性を下げる原因にもなり得れば、社会性を育てる場にもなり得ます。

我が家で見えてきたのは、ゲームの中にも信頼を築く工夫や関係をつなぐ力が存在しているということでした。社会性がないのではなく、発揮される場や形が違うだけ。そう捉えることで、子どもとの関わり方も少しずつ変わっていくのかもしれません。

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